ゆっくり草津 街道物語
1.志津の道
第二の近江聖人 北川静里
岡本方面へ向かう幹線道路は車がひっきりなしに通ります。志津公民館を出発し、わき道に入った途端、パッと視界が変わりました。畑の向うには林、点在するゆったりとした敷地の家。のどかな風景が広がりました。
観光ボランティアの石田さんを先頭に、私たち編集ボランティアが続きます。手入れの行き届いた庭を眺めながら、またかわいいサクラソウの鉢植えに心をなごませながら、ゆるやかな上りになった道をぐるりぐるり歩いていきます。
初めに訪れたのは、北川静里さんの生家。明治の初め、小学校の必要性を説き、小学校設立に尽力された北川静里さんは、第二の近江聖人と呼ばれ、志津小学校に顕彰碑も建てられています。北川さん死後、市に寄贈された数々の書籍は静里文庫と呼ばれています。
住宅の路地を歩くと、庭先の鉢植えのレモンの実、竹やぶの横の湿地に生えているフキやセリ、ヨモギなど、ふだん見過ごしてしまいそうなものの発見が新鮮です。
本記、『動植物に学ぼう』のコーナー担当の矢原さんは「このヤエムグラって知っていますか。放射状に細い葉が笠のように出ていて、葉の裏には繊毛がいっぱい生えているので、衣服に引っ付きます。これはシソ科の植物だから、円筒ではなく四角形の茎なんです。」と、道端の草や花の説明をしてくれます。
花桃が美しい無量寺
青地氏の墓と叶地蔵
伯母川沿いの桜と小槻神社
伯母川沿いに歩くとちょうど桜並木が満開で、桜の木々の合間から見る畑とその向うの西方寺の白壁が美しく、草津にはめずらしい里山の風景です。ちょうど近くの保育園
のお散歩タイムと重なり、川を挟んでかわいい一団が、手を振ってくれます。桜の枝は切ってしまうと切り口から細菌が入り病気になることが多いそうですが、伯母川の桜は川に向かってすくすくと伸び、たくましく生気が感じられました。
住宅街を通り抜け、木々が生い茂る小槻神社に出ました。こちらには、学問の神の天児屋根命と治山治水の神である於知別命が祭られており、日本の数学発祥の地といわれ、願い事も叶えてくださるそうです。その昔、雨乞いをした龍神池のなごりもあり、神秘的な歴史を感じさせます。うっそうと木が茂り、樹齢100年以上といわれるツブラジイの大木もありますが、平成7年の嵐で枝が折れ、痛々しい感じがします。
小学校はお城の跡
母の日のカーネーション
にぎやかな幹線道路を志津公民館方面に歩くと、ハウスのガラス越しにカーネーションを見ることができました。母の日の出荷にはもう少しというところでしょうか、赤・黄・ピンク・ローズの花が大切に育てられ、出番を待っているようです。
志津公民館が近づくにつれ、車の騒音もけたたましくなり、現実に引き戻されていく気がします。たった2時間の「街道を歩こう」は歴史の話あり、草花や木々の話あり、春ならではのいくつもの発見があり、気分もゆったりしました。いつも編集会議を開くまちづくりセンターは、草津駅近くにあります。マンションが立ち並ぶイメージの草津とはちがう、のどかな草津の一面を知りました。
やはり歩くことは脳によいのかも!