くさつ元気ルポ
街のバザール in Kusatsu
障がい者の作品と理解を深めてもらう プロジェクト「菜の花」
南草津(追分町)にある飲食店「食菜 倍」は旬の食材を活かした美味しいお店です。行かれた人も多いことでしょう。では定休日に行ったことはありますか。「何を言ってるの」と思わないでください。実はこのお店では、定休日を利用して2カ月に1度『街のバザールin Kusatsu』が開催されるのです。手すき和紙やクッキー、織・刺繍小物など障がい者の皆さんの手づくり品が集まり店内や駐車場のテントに並びます。地元の産直野菜などのフリーマーケットなどもあって、まさしく街の魅力が集まるバザールとして賑わいをみせてくれるのです。
店で食事をしていたお客さんが、ふと口にした障がい者に対する心ない言葉を聞いた店長の高岡さんが、「自分にできることは何かないか」と考えたことがきっかけでした。障がい者であれ、高齢者であれ、誰もが自分らしく暮らしていくことが「当たり前」とは言い難い状況の世の中、まだまだ「福祉」として特別なものとして見られる世の中です。そんな状況に「できること」を探した高岡さんが、障害者団体の理事をしていた戸田さんに相談し、プロジェクト「菜の花」の活動として『街のバザールin Kusatsu』が始まったのは平成21年のことでした。
障がい者がつくる雑貨やお菓子を特別な施設でなく、街角の普通のお店で普通に買ってもらう-そんな場を提供しながら、作品や活動を地域の人たちにも知ってもらうための協力者を募りました。こうして街のバザールは回を重ねるごとに協力団体が増えていったのです。「かわいい。どうやってつくるの?」訪れた人が、そんな会話をするたびに、一つひとつの作品や障がい者に対しての理解を深めていきます。最近では小物やお菓子づくりなどを体験できる講習会も好評です。12月にはプロのパテェシエからクリスマスケーキを教わりました。
育児相談ができる子育てサロンに親子での小物作りコーナーなんかもあって、バザールが持つ活気あふれるイメージとは違い、ここのバザールには、ゆったりとほのぼのした時間が流れています。障がい者の自立と社会参加の可能性を広げる場として、これからも協力団体や参加者を増やしていきたい『街のバザール』です。(レポート 佐村木裕美)