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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

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おいでよ 『マンポのとなり』

2014年8月5日

 旧草津川トンネルを地元の人たちは愛着を込めて「マンポ」と呼びます。大路からこのマンポを通り抜けると、にぎやかな商店街は一変。趣ある町屋が並ぶ草津宿本陣通りの一角に憩いの場「マンポのとなり」があります。
 「名は体を表す」いや「場所を表す」です。なんと覚えやすい。


 どこかなつかしい町屋造りをのぞくと、川那部光子さんが笑顔で迎えてくれます。
 町屋には坪庭がつきもの。引き戸の枠が額縁となって絵画のようです。玄関から坪庭へ通り抜ける風は涼しく、風鈴が似合います。“暑いしちょっとひと休み”なんて人も、朗らかな川那部さんのおしゃべりでついつい長居。失礼、このおしゃべりこそが目当て、なんて方も。
 「いろんな人が来て楽しめる場所を」と、展示会や映画鑑賞会を催したり、手づくり品を並べる貸しボックスを用意するなどいくつも工夫が凝らされています。来る楽しみがないと人は集まらないもの。実際に人が来てくれるようにする方法を考え合い、そして実践しています。


 川那部さんとの話の途中、外から突然「向こうの店はまだやっとるかいな~?」と、おじいさんが自転車に乗ったまま話しかけてきました。「やっとるで~」と返す川那部さんとの会話を見ていると、温かい気持ちになります。こんな光景が見られるのも町屋の持つ「開かれた玄関」と、川那部さんの気さくな人柄が成せるワザですね。


 こうして町屋での活動を継続していくのは経費や労力の面でも大変ですが、「いろんな人が立ち寄ってくれて、たくさんの話が聞けるからとても楽しい」と川那部さんは前向きです。
 「おばあちゃんの家に帰ってきたみたい」私の言葉に「そうでしょう~。このちゃぶ台なんて大正時代からあるのよ」と嬉しそうに教えてくれました。そう言われると、古くからある家具が昔ながらの雰囲気をよりリアルに醸し出してくれています。


 「マンポのとなり」の活動は平成17年、川那部さんをはじめ5人の主婦が集まり、“どんな人でも気軽に集まれる場を”との思いで、はじまりました。「主婦5人が町屋を借りてみんなの居場所にしていく」というのは、言うほど簡単ではありません。「一緒に始めた仲間は、みんなで何かをしよう!という気持ちが強かった」と川那部さん。仲間のエネルギーを集めながら、難関を乗り越えてきました。
 川那部さんたちが始めた「どんな人でも来られる居場所」は、今では多くの人にとって無くてはならないものとなっています。「これからもっとたくさんの人に知ってほしいし、一緒に活動してくれる人が現れるといいな。ゆくゆくはこんな風に玄関が開け放たれた町屋が増えて、人が集まる通りにしたい」と話してくれました。


                                                                                                                                                 あなたもここで、ちょっとひと休みしていきませんか。


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