団体インタビュー
障がいと共に生きる君の未来を
求められた余暇の体験
草津手をつなぐ育成会は障がいがある人たちが地元で自分らしく社会生活を送れるよう様々な支援を展開するNPO法人です。その部会の一つ「よかサポ」は、学齢期の障がい児とその家族の余暇サポートと将来を一緒に考える活動をしています。
余暇とは生活の質を高めてくれる大切なもの。特に子どもの成長にとっては欠かせない時間です。放課後に友だちと遊んだり、休みの日に出かけたり、そうした中で培う経験や体験の中で自然に社会を学んでいきます。
しかし障がい児は余暇経験をする場面が少なく、学校以外で自由に友だちと遊ぶこともできません。家族で出かけるにも場所によっては制約を受けることだって少なくありません。「よかサポ」はそんな“障がい児の余暇”を親子で充実させるために生まれました。
家と学校以外の世界へ
2013年、よかサポによる夏休みの余暇活動が始まりました。マンパワーや資金の確保といった運営の難しさに直面しながらも親子の活動として、川下りクルーズ、ボウリング、うどんづくり…と普段なら行くこと自体が負担になったり、周りの目が気になり尻込みしてしまう場所に皆で行こうと様々な企画を行ってきました。
障がい児の兄弟姉妹や幼児期の子も一緒に楽しめるようにと対象も広げました。子どもたちからは「家と学校以外の世界が広がった」「違う学校の友だちと出会えるのが楽しみ」。保護者からも「色々な場所に出かけてチャレンジする体験ができた。本人は集団でのルールを守ろうとしていた」「車イスでこんなところに連れて行けるなんて思ってなかった」といった感想が寄せられました。どれも嬉しくもあり、考えさせられる問題でもあります。
将来をみんなで考える
つなぐエール
今では障がいのある人への関心と理解は深まりつつあります。様々な制度やサービスが生まれるのもその表れでしょう。
「一人ひとりの障がいや環境が異なる以上、完璧な制度などはありえません。変化する制度や手続きへの疑問やとまどい、悩みに少しでも寄り添いたくて学習会を始めました。また、制度だけではなく、生活していく上で生じる悩みにも専門家を招いて講演会をしたり、保護者が集まっての座談会をやったり。座談会では『先輩ママたちの話を聞いて気持ちが楽になった』『何でも話せる人たちに出会えて救われた』といった感想を聞いて、人と人のつながりが安心をもたらしてくれることを改めて感じました」
当事者同士、行政・専門家・関係団体といったつながりをつくることで、安心を生み出す。こんなエールの送り方もあるのですね。
コロナ禍でも、その後でも
コロナ禍。これまで以上に子どもと向き合う時間が増えています。「こんなに長く子どもと一緒にいたのは今までになかった。怒ってばかりいて虐待になってしまいそうで不安」と打ち明けられた有田さんは、電話で一晩中その人の悩みに寄り添ったとか。
「私は逆にコロナ禍で一日中、子どもと一緒にいて、わが子の特性に改めて気づくこともありました。障がいのある子ものすごくゆるやかな成長をたどりますが、必ずどこかでジャンプする瞬間があるんです。」と花岡さん。
「障がい児の中には基礎疾患や呼吸器をつけている子もいます。そんな家では特に敏感になっています。高齢者のいる家も同じでしょうが、『もしウィルスを持ち込んだら』と思うと怖くて不安になります。このま、手洗いや感染防止が日常のエチケットとして根づいて欲しいですね」とお二人。
障がい児とその家族を見つめ、環境が変わるたびに寄り添ってきた「よかサポ」は、みんなでその子の将来を考えながら、今日もエールを送り続けます。
津久井やまゆり園の事件(2016年)を受け、全国手をつなぐ育成会連合会では障がい者とその家族に寄り添う姿勢をさらに強めていく方針を発表しました。以来、草津手をつなぐ育成会や所属する「よかサポ」の活動もこれまで以上に個々の家族に寄り添っています。
NPO法人草津手をつなぐ育成会では、障がい者が地域で安心して暮らしていけるよう、当事者同士、行政・専門家・関係団体とのつながりを大切に活動しています。