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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

にゃんこ まもる高校生たち

にゃんこおたすけ隊 鎌田優花さん・酒井理沙さん

知らなかった言葉

にゃんこおたすけ隊1  代表の鎌田優花さんには忘れられない思い出があります。今から2年前、近くの駐車場で野良猫を見つけました。当時はまだ女子中学生。愛くるしくて、どこか可哀そうで…。
そこはまだ中学生、無邪気にエサをあげていたとか。そんなとき駐車場のおばさんに注意を受けました。この猫はこれからどうなるのか尋ねたとき、初めて「殺処分」という言葉を知ったのです。ショックでした。

 なんとか救いたい優花さんは自分で色々と調べました。県の動物保護センターを見学、研修会にも参加し、飼い主のいない犬や猫たちの置かれた実態やそれらを救おうとする活動を知りました。
 そして、飼主がなく、やがて殺処分されてしまう猫たちを救おうと、女子高生7人で「にゃんこおたすけ隊」を立ち上げたのです。

一日中の見張り

にゃんこおたすけ隊2  おたすけ隊の目標は、人間の身勝手な行動によって失われてしまう猫や犬を1匹でも多く救い、新しい家族のもとで一生暮らせるように手助けすることです。それが自然と殺処分をゼロへとつなげられる道だと思うから。猫は繁殖力の強い動物で放っておくとどんどん増えます。殺処分される野良猫を増やさないためにも避妊・去勢手術を施す必要があります。

 もちろん手術には手術代がかかります。どうぶつ基金に毎月申請し、抽選で認められた匹数分だけ野良猫を捕獲して獣医さんに連れていきます。

 捕獲の時には、猫を傷つけないよう改良した捕獲器を置いて、他の野生動物が入ったり、捕獲器が盗まれないよう、一日中見張っているとか。
 「基金の他にも募金箱をつくって、あちこちのお店を回っては置いてもらっています。滋賀県では手術代が高いので、安価でしてもらえる遠方まで連れていきます。高校生なので車も運転できません。大人のボランティアさんや家族の協力なくしてはできない活動なんです」
 何度も言いますが、彼女たちはまだ高校生。脱帽です。

良い人に出会って欲しい

にゃんこおたすけ隊3  子猫の飼主を見つけるための譲渡会にもおジャマしました。ペットサロンの協力を得て、閉店後の店舗が会場です。案内の看板、受付など何から何まで制服姿の女子高生たちが走り回っています。今日、里親さんとの出会いを待つのは14匹のにゃんこ。ゲージには丁寧にその仔の情報が書きこまれた手書きのポスター。一匹いっぴき、書き方が違うのは、里親さんと出会うまでこの仔たちを預かり育ててきた彼女たちがそれぞれ書いたから。「この仔を良い人に引き取ってもらいたい」彼女たちの切なる思いが伝わります。

 ペットショップに貼られたチラシやSNSで譲渡会を知ったお客さんたちが次々とやってきました。
 「この仔たちがもう二度と捨てられないようにしないといけません。だから里親の申し出をしてくれた人であっても、メンバー全員が合意しないと引き渡さないルールにしています。飼ってもらう際の条件を守ることを約束してもらい、本当にこの仔たちを守ってもらえる環境にあるか、ご自宅にも訪問させてもらいます」

生命と向き合う

にゃんこおたすけ隊4  まさに生命と向き合う活動。高校生には少し荷が重いようにも感じます。
 「飼主のいない動物たちの置かれた状況は本当に厳しいんです。この現状を私たちのような若い人たちに知ってもらい、できることから行動してもらいたいんです。


 「また、“多頭飼育崩壊”といって野良猫を拾ってきては最後に飼いきれなくなった人だって、最初は猫を助けたい気持ちから。ただ、知識や環境が不十分だったり、正しい情報が伝わっていないだけです。それを他人から『無責任に…』と頭ごなしに言われるより、私たち高校生から『一緒に考えましょう』って言われた方が次に進める人だっています。大人には大人の、高校生には高校生のできることがあると思っています。今しかできないことをしていきたい」

ともに生きる社会を

にゃんこおたすけ隊5  取材中、女子高生たちの言葉に息をのみました。「ペットとして飼う、捨てる、去勢手術を施すのだって、猫からすればどれも人間の勝手なんですよね。猫たちは本能に従って一生懸命に生きているだけ。それでも人間と猫は共に生きていけると思うんです。そのためには私たち人間が自分のできることで行動を始めるしかないと思います」

 近所で犬や猫を散歩させる人をよく見かけます。彼女たちは、大きな犬に引っ張られ息を切らす高齢者を見つけると「手伝わせてください」と声をかけるのだとか。ペットを大切な家族として暮らす人はこれからどんどん増えるのでしょう。人と動物が共生できる社会に向けて、自分にもできることがまだまだありそうです。


コミュニティくさつ126号 2020.12月
「若者よ、未来をひらけ。」より

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