団体インタビュー
世界に一つだけ、私の石けん 滋賀の農産物のオリジナル石けんづくり
秋のヒマワリ
郷土を学ぶ 体験する
苦労の先
種の次は油を搾る道具が必要です。江戸時代式の搾り機が甲賀市に残っていることを知り、トラックで学校まで運んで宮大工さんの指導で組み立てました。いざ搾ってみると油は出てきません。それでも子どもたちは簡単にはあきらめません。なにせ念願のひまわり油です。
「どうすればヒマワリの油が搾れるのか」を調べ、菜種油を生産している東近江市の施設から手動の搾り機を借りてきました。これまた、子どもの力では油はあまり出ず、先生たちをしても数滴落ちる程度。これではとても石けんはつくれません。
最後は滋賀県立大学の電動搾り機でようやく油を搾ることができました。ところが、8時間もかけて搾った油は真っ黒で、やっぱりこのままでは使えない。油の精製が必要だったのです。県立大学の先生に精製方法を教わりました。
こうしてできた油は、5kgもあった種からわずか500ml。それでも琥珀色したきれいな油を見たとき、子どもたちからは歓声と拍手が湧き起りました。その苦労を知っているからこその歓声。
もう、子どもたちのワクワクが止まりません。
私の石けん
いよいよ石けんをつくります。ボウルにビーカー、薬品のビン、泡だて器、温度計…理科の実験か、調理実習なのか、といった光景です。
石けんづくりの指導は杉江香代子さんです。石けんは例のひまわり油を含む数種類の油、水、水酸化ナトリウム、香料などを配合して作ります。
まず、温めたオイルに水酸化ナトリウムと水を入れ水溶液を作ります。この作業は化学反応で高温となるので、杉江さんや先生で行い、子どもたちは別室からオンライン映像で見守ります。
水溶液の温度が下がってくるのを見計らって、ひまわり油や香料などを入れ、子どもたちが順番にひたすらかきまぜます。上手く混ざるかどうかはこの作業にかかっているので、子どもたちも一生懸命に泡だて器を回します。
まだトロっとした液体のままの石けんを牛乳パックに流し入れました。あとは毛布などで保温しながら1か月も経つと、子どもたちの世界に一つだけの石けんができあがります。