団体インタビュー
明日は自分たちで創る。山田の挑戦 ~山田の未来をつくる100人若手ワークショップ~
若手の意見
この会は地元と市で進めていた「地域再生計画」づくりから生まれました。
若い人たちや働き世代はなかなか意見を言う機会も時間もない。
そこで、「若い人たちが普段、山田に感じていることを言い合い、できることはチャレンジしてみようじゃないか」という試みです。若者が気軽に意見を出せるよう、なんと60歳以上は入会できないという徹底ぶり。
目標の100人にはまだ届きませんが、現在、山田学区内外の若者56名が・草津川跡地・山田の空・山田の野菜・まめバス・ビワイチ・北山田漁港の6チームに分かれて、山田の“コト”や“モノ”を活かすプロジェクトにチャレンジしています。
生まれも育ちも山田という小林さんは「これまで職場と家の往復ばかりで、地元に気軽に話せる人がいませんでした。今、山田に暮らす若い人たちが、どんなことを思っているのか知りたくて」と参加した理由を話します。
山田に魅力を感じて引っ越してきた笹島さんは「土地が広くて山田の伸び伸びした感じが気に入りました。自然いっぱいのここなら子育ても存分にできるかなって。これからもずっと住み続けたい山田になるよう何かできないかと参加しました」なるほど。
夢の山田カレー
できるかも
草津川跡地チームの小林さんは「私が子どもの頃の山田って、そろばんも書道も近くで習っていたけど、今は子どもたちを駅近くまで送迎しないと習い事にも行けない。地元のおじいちゃんが将棋を教えてくれたり、そんな感じで草津川の跡地が“教え合い・学び合い・語り合い”の場所になればいいなって、皆で話しています。ちょっとした趣味で教え合えるつながりをつくれたら」と教えてくれました。
清水さんは「ビワイチ」チーム。「サイクリスト向けにマップを作ってai彩ひろばまでお客さんを呼び込みたい。自転車を載せられるバスとかバス停の名前を考えみたり、トライアルイベントを開催するなどアイデアが集まってきています」
ニコラスさんは山田在住のイギリス人。「北山田漁港チームです。漁港を初めてみたとき、正直“もったいないな”と感じました。ウォータースポーツやキャンプなど漁港を多目的なスペースにすると色々な可能性がありそう。湖岸道路とつないでバイクの休憩所なんかにすると、もしかしてビジネスになるかもしれない。漁業関係の人にもメリットを見出さないと」
夢は広がり、つながります。「みんな、ひょっとしたらできるかもと思って話してますね。お金のことや“できるできない”という話はヨコに置いて、まずはとにかくアイデアを出してみる」と笹島さん。
「参加後は私も友人の顔を思い浮かべては“あの人はあれができそう、これができそう”なんて役割を考えるようになりました。何かできる人って、もっともっとたくさんいると思う」と樫根さん。
小林さんが続けます。「チームは分かれていても、どのアイデアも絡まってくるのを感じます。一人だとあきらめることばかりだけど、皆となら実現できそうに思えるから勇気が湧きます」
私たち世代の宿題
山田の未来について聞きました。「若い人が入ってきにくい状況をなんとかしたい。働く世代のためのアイデアや魅力がもっともっと必要」とニコラスさん。
小林さんは「新しいものを排除するのでなく、今のつながりを伸しつつ新しいつながりを作りたい。ワクワクできる楽しいことで未来への種をつくりたいです」
清水さんは雇用に注目しています。「10~30年後の山田で雇用も生まれるよう、作物も人も地産地消にしたいですね。通勤に時間をかけなくても、地元で無理なく仕事ができたら」
「学区外の人にもっと山田を知ってもらいたいです」と笹島さん。「ここでしかできない食や体験を通して若い人に山田の魅力が伝われば、私のように“将来、山田に住みたい”と思ってくれる人が増えるんじゃないかな」
最後に樫根さん。「今、私たちの世代がしていることを次の世代に見ていてほしい。10年後のことを考えるのは私たち世代の宿題。次の世代が“あの人たち何やら面白そうなことをしている”と感じてくれれば、若い人もいずれ山田に帰ってきてもらえると信じています」
山田の未来
会が始まろうとするタイミングで世の中はコロナ禍に。最初の顔合わせもリモートとなりましたが、そこはさすがに若手。むしろ楽しむように自分たちの好きな場所から山田の未来を語り合いました。
また、SNSを活用した「山田の空フォトコンテスト」や「オンライン交流会」など、今できることを楽しむことや、これまで地域に関わりにくかった働き世代に積極的に意見を言っている姿が何とも頼もしい限りです。
もう一つ、これらの働き世代のチャレンジをサポートする地元高齢者のグループが山田に生まれていること自体、新しいチャレンジかもしれません。
老いも若きも思っていることを言い合えるまち。まずはやってみようとチャレンジできるまち。うまくいったらみんなで喜び、ダメなら次なる挑戦の糧とする。次はどんなチャレンジが始まるのか、山田から目が離せません。
コミュニティくさつ126号 2020.12月
「若者よ、未来をひらけ。」より