団体インタビュー
週末に畑のある生活 ぱたぱたふぁーむ
3人の週末農家
ここは西矢倉の農場。週末に集まった3人の男たち。この夏(2021年8月)のオープンを控える「週末体験農園ぱたぱたふぁーむ」の朏さん、中村さん、竹村さんです。
梅雨の合間だというのに汗が噴き出す暑さの中、草刈り・溝堀り・野菜の植え付け、と地道な作業が続きます。実はこの3人、専業農家でもプロでもありません。普段はサラリーマンとして働きながら、週末になると作業服に袖を通して土を耕す「週末農家」です。
年齢も職業も全く違う彼らの出会いは一年間通った農業学校なのだとか。
朏さんの場合「野菜の栽培方法はネットや動画でも観ることはできますが、情報が多すぎて判断に困るんですよね。これは基本を知ってないといけないと思い、学校に行くことにしたんです。肥料や土壌のことまで学べて良かったです。こうして仲間もできましたしね」
野菜をつくりたい
30〜50代の働き盛りの彼ら。仕事に生活にと慌ただしい毎日の中で、これまで関りすらなかった農業にどうして興味をもったのでしょう。
「仕事で海外に行った時、スーパーの『オーガニック野菜』のコーナーが充実していることに驚きました。それで自分も農薬を使わない野菜をつくってみたくて学校に通い始めました。自分で野菜をつくりだすと、家庭でも食の話題が多くなりましたね。自然と野菜の旬もわかるようになったりして」と竹村さん。
中村さんの“始まり”もユニークです。「日課のジョギング中に畑仕事をするおじいさんに出会うんです。ずっと気になっていて、思いきって声をかけたことがきっかけで畑を手伝い始めました。神戸っ子だった私には、畑のある風景は憧れでした。もう、キラキラ輝いていましたね」。今では地元のホームセンターの常連なのだとか。
耕作放棄地を開墾
農業学校を出た3人は、それぞれ自宅近くに畑を借り、自分の野菜づくりを始めてからしばらく経ったころ、竹村さんに知人から連絡が入ります。耕作放棄地となっていた田んぼの草刈りの依頼でした。広さは3000㎡、バレーボールコートなら18面にもなる土地に2mを超す丈の雑草がびっしり。
年末年始も返上で3人の作業が始まりました。草を刈っては集めて処分し、土の中の根っこを掘り起こす重労働。ようやく元あった土が顔を出したころ、3人の中に「ここを畑にして、野菜づくりを始めたい人や家族のための体験農園にしたい」という思いが生まれました。
知識も道具も、そして時間だってなくても、週末ここに来れば畑仕事ができる。土に汗する醍醐味や収穫の喜びを、来てくれた人たちで分かち合える週末だけの農業。「週末体験農園ぱたぱたふぁーむ」が産声を上げた瞬間です。
のんびりした自然の中で
胎動する「ぱたぱたふぁーむ」。3人の夢は広がります。「農業学校で一番心に残ったのは、みんなで野菜をつくった実習でした。一緒につくる楽しさは格別です。一人で来ても仲間に会える楽しい場所。採れた野菜で収穫祭やバーベキューもやりたい。レジャーやエクササイズみたいな感覚で農業を楽しんでもらいたいですね」という朏さんは「ぱたぱたふぁーむ」の名づけ親。
「いつか、ここでニワトリも飼いたいですね。ニワトリに野菜クズを食べてもらい、その糞を肥料にして畑の野菜を育てる循環型の農業もしたいなと。羽ばたく様子と畑〇畑〇で『パタパタ』です。子どもたちにも覚えてもらいやすいかな」
中村さんです。「コロナでライフスタイルを見直す人も多いと思います。のんびりした自然の中に身を置くと、農業に限らずなにか自分にピンとくるものが見えてくるんじゃないかな。ここで新しい一歩を踏み出すきっかけを見つけてもらえたら嬉しいですね」
週末に畑のある生活を
夏のオープンに向けて、ワクワクが止まらない3人かと思いきや、そうでもない様子。「これまでは3人でわいわいガヤガヤと楽しくやってきましたが、農園が始まればサービスの提供者です。会費も頂戴する以上、満足してもらえる内容になるよう相談を重ねています。
参加者に約50品目の中から野菜を選んでもらい、四季を通じて種まきから収穫まで野菜づくりのアドバイスを含めたプログラムを用意しています。農機具も準備しているので手ぶらで畑に来てください。初心者も大歓迎です」
「週末に畑のある生活」に期待が高まりますね。今年の夏は暑くなりそうです。
コミュニティくさつ128号 2021.7月
「自然生活、はじめました。」より