団体インタビュー
オレンジのおばちゃん、今日も行く。
名前はカタくても…
「更生保護」なんていうと、少し難しそうなイメージを持たれるかもしれませんね。更生保護とは一般的には罪を犯した人や非行に走ってしまった若者の立ち直りを社会の中で助けていこうとする活動のことですが、全国組織である更生保護女性会では明確な定義はされていないのだとか。
つまり、それぞれの支部で誰もが楽しく、そして安全に暮らせるための活動をしています。大路の会でも、非行やいじめだけでなく、貧困や家庭内暴力、最近ではコロナなど暮らしの安全を脅かすようなケースの勉強会を地域の皆さんとしています。
こういうと、またまた難しそうな活動に聞こえますが、普段はもっと身近な地域活動をされています。その一つが先ほどの緑の手入れ「みちサポート」です。
草津の玄関だから
旧中山道とサンサン通りの交差点、ここはかつて手入れされていた方が亡くなって以降は放置されていた場所。草はボーボー、空き缶やゴミも捨てられ放題だったとか。
「駅前のこの場所って、いわば草津の玄関。私たちの手できれいにしよう」と当時の会長の声かけから平成26年に始まりました。
善意には善意が集まります。“それなら”と地元の方がトラックで土を入れてくれ、花壇を作りました。メンバー各々が自宅で育てた苗を持ち寄り、季節の花を咲かせる活動を始めました。
毎日の水やりが欠かせない夏場など苦労は絶えませんが、やりがいの方が勝ります。横断歩道を渡る若いスーツ姿の男性が「いつも水やりありがとう」と声をかけてくれたり、マンションの上階に住む人から「庭がないから、自分の家の庭のように上から見ています」と言われたことも。
下校中の子どもたちから「オレンジのおばちゃん、ここにチューリップ植えて~」とリクエストがあることも。どこかで活動を見てくれている人がいるのは、やりがいにつながるし、花を仲立ちに知らない人との会話が生まれるのも嬉しいものです。
オレンジのおばちゃん
子どもたちからも話しかけられるってすごいですね。
ん?オレンジのおばちゃん?
そうなんです、彼女たちは「オレンジのおばちゃん」として、大路の子どもたちに知られています。なぜ?それは彼女たちが長年続けている子どもの見守り活動「おかえりなさい サポート更女」によるもの。
きっかけは平成16年に他県で起こった子どもの誘拐事件でした。大きく報道され、子どものいる家庭を中心に全国で不安が募りました。
「子どもたちが無事に家まで帰れるよう、見守りをしよう」。またまた当時の会長の発案により活動を始めました。今でいうスクールガードの先駆けです。
誰も経験してない活動だけに、事前に警察とも相談、アドバイスももらって背中を押してもらいました。
活動は毎週金曜日の下校時。メンバーを3ルートに分け、1年生の集団下校に付き添います。オレンジのジャンパーと帽子がトレードマークの彼女たちはいつしか子どもたちから「オレンジのおばちゃん」と呼ばれるようになったのです。なるほど、ナットクです。
安全はみんなの目で
「週末におじいちゃんちに行くんだよ」「楽しみだねぇ」。道すがらの子どもたちとの会話は楽しい限りですが、ヒヤッとする体験もありました。
風で帽子を飛ばされた子が追いかけて車道に飛び出そうとした時に車が…。危機一髪で子どもを引き留め、難こそ逃れましたが、子どもたちの様子を片時も見逃してはいけないと、今でも戒めとしているデキゴトです。
子どもたちの安全を守るには子ども自身だけでなく、周りの大人の目や意識も必要です。安全のための標語をプレートにし通学路の目立つ場所に取り付ける啓発も彼女たちの手によるもの。プレートは200枚。一枚一枚が手作りです。
「私たちメンバーは自分の自転車にもプレートをつけて町中を走り回っているんですよ。新1年生には私たちが下校に付き添っていることを説明するカードをポケットティッシュに添えて渡し、保護者にも活動を知ってもらうようにしています」