団体インタビュー
子どもを抱っこする手はいくつあってもいい
背中を押すフリだけ
KMPは育児サークルを中心に、コーラス・料理・バランスボール・映画の上映会からロケット教室まで展開する元気な団体です。これだけ幅の広い活動ですが、共通しているのは「自分にできること、したかったこと、欲しかったこと」を、ママ自ら実践していくということ。
そして子どもたちにはその子の「わくわくエンジン」を自分で見つけられるように様々な体験を用意することです。
「よくママたちが『背中を押してもらえた』って言ってくれるのですが、全然そんなことないんですよ。私はただ『やってみたら?』と言っただけ。ママの背中を押すふりをしたら、ママが自分で走り出しちゃったってことなんですよね。(笑)」と、話すのがKMP代表の堀江尚子さん。
どうすりゃいいのよ⁉
いつも周りの人を明るく照らす堀江さんですが、KMPの活動の原点は自身が経験した子育て中のしんどさだったとか。結婚を機に草津に来た堀江さん。3人の子どもに恵まれるも、夫は仕事が忙しく、一人で子育てに追われる日々。
「次男を抱っこしながら長男を連れて外出した時にね、長男が頭を怪我したことがあって。頭から血は出てるし、すぐに手当てして救急車を呼びたいのに、両手は次男の抱っこでふさがってるし。どうすりゃいいのよ⁉ってオロオロするばかりで、もうパニックでした(笑)」
知り合いもいないまちでの子育て、子どもや赤ん坊を連れての生活の大変さときたら、想像以上でした。それは病院でも、買い物でも、バスや電車でも。
楽しいはずが…
ないなら、つくれ
360度に大人を
そんなKMPの新たな挑戦が始まっています。それはフリースクールの運営。
「小さかった子どもたちも成長していきます。KMPに参加するパパママからも、子どもの不登校や引きこもりといった話をよく聞くようになったんです。発達障害や学習障害、LGBTの子も身近にいます。“学校に行く”以外の選択肢が必要だと感じていました」
そんな時、学習塾だったビルを貸してもらえる話が持ち上がったのです。とはいえ、多額の改修費が必要。そこでネットで寄付を募ったところ、約400人から800万円以上もの寄付をいただくことができました。
こうして2023年11月、草津駅近くにフリー&アフタースクール「HOPE」が開設しました。
「“子どもを抱っこする手はいくつあってもいい”を合言葉にしています。親であってもママやパパの考えだけが正解じゃない。子どもの周り360°に様々な価値観をもつ大人が関わることで、子どもは自分をつくっていくんだと思います。
だから、このフリースクールもたくさんの大人に関わってもらいます。寄付いただいた方も含めてみんなでつくる。そんな居場所で自分らしさを見つけて欲しいですね」
HOPE 始動
昨年の春、堀江さんの体に病気が見つかりました。このことがフリースクールの開設を決断させたのだとか。
「私は自分の身に起きることは意識の有無に関係なく、すべて自分が決めたことなんだと考えてます。結婚するのも、学校に行くのも行かないのも、病気になったことさえ全部自分が決めたこと。このタイミングでビルを貸してくれる人が現れたり、寄付いただけるってことは、私たちに“フリースクールをやってみろ”って言われてるのだと感じて、決断しました」
たくさんの希望が詰まったHOPEが始動します。
フリー&アフタースクールHOPE
草津市大路1-19-13
フリースクール 火~金 10:00~14:00
アフタースクール 月~金 15:00~19:00
認定NPO法人 くさつ未来プロジェクト
http://www.kmp-kusatsu.org
コミュニティくさつ138号 2024.1月
「やってみたらええやん!」より