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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

さぁ、ごはんにしましょ

たすけ愛隊「ママの手」 金川美鈴さん

ごはんにしましょ

 本日のメニューはおでん。大根、たまご、ちくわ、こんにゃく、里芋に、ごぼ天…立ち上る湯気と香りが食欲をそそります。出汁がしみた大根なんて、なんとも美味しそう。
 「この大根ね、昨日から下ごしらえしてるんですよ。よく染みてるでしょ(笑)」エプロン姿の女性がそっと教えてくれました。
 「おいにぃずカフェ」は老上西学区の地域サロン。第1水曜の毎月開催です。地域の高齢者を中心に昼前から手づくり作業やミニ講習会で楽しく学んだり体験したり。「そろそろお腹が減ってきたなぁ」って頃合いにランチが用意されてるというわけですね。

人とつながる安心を

 地域の皆さんを想い、手間を惜しまず、心を込めて作られたこのランチは。なんと300円。希望者のみへの提供ですが、参加者のほとんどが楽しみにしてるというのもナットクです。カフェには参加できなくても、この弁当だけを買いにくる人も少なくなくありません。
 ここで皆と一緒に楽しく食べるも良し、持ち帰って家族と食べるのもOKという、ゆるさも嬉しいですね。
 この「おいにぃずカフェ」を運営するのが地元のボランティアグループ「たすけ愛隊ママの手」です。参加する誰もが笑いと温もり、そして人とつながる安心感を感じられるのもスタッフ一人ひとりの明るさが生み出す場の空気感でしょうか。

自分にできること

金川さん  なかでもひと際、明るく立ち回っているのが代表の金川美鈴さんです。
 「老上西学区が旧老上学区から分離したのは8年前(2016年)。新しいまちづくりセンターもできて、『新しく誕生したこの地域を盛り上げたい』と動きまわっている職員さんたちの必至な姿を見ててね、私たちにも何かできることはないかな、と。
 それで、このセンターが高齢者から子どもまで “みんなの居場所” になったらいいなと思って始めたのが、この“おいにぃずカフェ”なんです」

ゆる~くボランティア

 いつも、笑い声の絶えない調理室ですが、抜群のチームワークで、あれよあれよと盛り付けられていく手際の良さには驚かされます。
 「地元の各種団体や料理上手な人、ボランティアを名乗り出てくれた人など男女21人で運営しています。買い出しや食後のコーヒーはセンターの職員さんがカバーしてくれて、みんなで運営しています」

 メンバー自身も楽しんでいる姿が印象的です。「それはたぶん、ゆる~いルールにしてるから、ですかね。4班に分けての活動なんで、当番が回ってくるのは4回に1度。メニューも調理の手順もその班にお任せ。家庭に帰ればみんなプロなんで、自分流でいいんです。欠席や遅れる知らせだっていりません。『やらなくちゃ、行かなくちゃ』なんて思うとしんどいでしょ。メンバーや参加者とワイワイしながら、楽しいと思えなきゃ長続きしないものね」
 あくまで “地域のために” という自発性を大切にするのが“ママの手”流です。

倉庫いっぱいの米

ママの手看板  ママの手が応援するのは高齢者だけではありません。子ども食堂のお手伝いもしています。150人もの参加があったときは、さすがにお米が底をついてしまったのだとか。もう購入費も残ってなくて、町内会ニュースに「子どもたちのためにご寄付を」と掲載すると、なんと倉庫に入りきらないほどのお米が集まったのだとか。

 それ以来、あちこちから声がかかり、季節の野菜が届くようになりました。「皆さん、地元に何かお手伝いをしたいと思っておられるんですよ。老上西学区ってホントにすばらしいところです」と金川さん。

あなたに会いたい

お弁当配達  そんな金川さんには忘れられないできごとがあります。
 「地域で独り暮らしの高齢者が亡くなり、しばらくして発見されたことがありました。枕元に私の名刺が置いてあったそうです。それは民生委員をしていたころに『何かあれば連絡してね』と私が渡したものでした。ショックでした。ここに来たくても来れない高齢者もいる。それなら、こちらから訪ねよう。体調が悪そうなら私たちが専門機関につなごうと考えました」
 ここ老上西学区では約14軒に1軒が独り暮らしの高齢者※なのです。
 こうして、この4月から学区の85歳以上の独居高齢者を中心にお弁当を届ける活動、名づけて「あなたに愛隊弁当」が始まりました。月に1回、筍ご飯や栗ご飯など季節のご飯を持って訪問。受け渡しの折にお話しする見守り活動です。「少し顔なじみになれたらカフェにも来てもらえるかな」
 愛隊弁当にはそんな思いも込めました。さぁ、ごはんにしましょ。


 そうそう、「ママの手」の名前の由来を忘れるとこでした。「お母さんの手ってあったかいでしょ。不安な時、ツラい時、痛い時…。お母さんが背中をさすってくれるだけで、ふっと楽になるように、私たちも地域の皆さんがしんどい時にそっと身体をさすれる存在になれたらいいなと思ってね」
 金川さんは今、登校できずに苦しむ子どもとそのママたちにも寄り添えないかと模索しています。ここに来れば気楽でいられるという場所になれないか。
 老上西のママさんたちは、今日もそのあったかい手で、まちのみんなを包むのです。



コミュニティくさつ139号 2024.3月
My home town story 老上西より

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