団体インタビュー
できることを無理なく続ける
動き出すのは今しかない
自分にできること
シェフの大倉さんが被災者にできること、それがチャリティーレストランです。お店の休業日にチャリティーレストラン「Forza 」(フォルツァ)を開き、その売り上げを義援金として被災者に送るというものです。「Forza 」とはイタリア語で「頑張ろう」を意味します。「シェフの自分にできること」をすっと自問していた大倉さんは、このチャリティーレストランについて言います。「自分の店を持った時にしかできないものと、あきらめていました。一歩が踏み出せなかったけど、今回の震災は動かずにいられなかった。今はやって良かったと思っています」。光熱費や食器も含めて店の使用をOKしてくれたオーナーも「やるからには、継続してやれ」と励ましの言葉も添えてくれました。
思いが人をつないだ
場所と思いはあっても、シェフ一人ではレストランは成り立ちません。早速、以前にこのお店でアルバイトをしていた大学生の立花太郎さんに声をかけ、この取り組みを皆さんに知ってもらうための広報を担当してもらいました。とは言え、もちろん経費なんてありません。「コスト節減のため宣伝は専ら口コミとネットを利用し、印刷物はほとんど作ってないんですよ」と立花さん。
経費をかけないのは広報ばかりではありません。給仕を手伝ってくれるお店のスタッフも、この日だけは無償のボランティアで働いてくれます。食材は大倉さんの熱い思いに賛同してくれた出入りの業者さんが、サンプル品や商品にならない端物をできる範囲で提供してくれたり、近所の農家や家庭菜園をやっている知人友人から季節の野菜を提供してもらうことで賄われています。
どんな食材が集まるのかは、その時にならないと分からないので、メニューは集まった食材を見てから決まります。だから事前に予約を取って食材の無駄を極力なくしながらコストの削減に努めています。
普通に楽しんでもらう
大倉シェフは言います。「限られた食材なのでイタリアンにこだわらず、フランス、スペイン風などバリエーションを持たせたコースメニューを考えています。苦労もあるけど料理人としてやりがいがあるんですよ。お客さんも「Forza 」の趣旨を理解して来てくれるので、今日はどんな料理が出てくるのかと期待し、美味しく食べ、楽しく語らってくれています。普通に食事を楽しんでくれることが被災者への支援につながっているんです」。
大倉さんは続けます。「義援金の募集だけでは、出してくれる人も2回目、3回目と長く継続することは難しいです。できることを無理なく長く継続していきたい。被災地に行きたくても行けない人だっています。ここ滋賀にいながら、できる方法で支援することは、この震災を風化させないことにもつながると信じています」と。
できることは一人ひとり違う
最後に「これから」を聞いてみました。「将来は、こうしたチャリティーレストランが色々な所に増えて欲しいです。できることは一人ひとり違います。トラックに乗る人は配送を手伝ってくれる。話すことが好きな人は、この活動を口コミで広めてもらう。それだけでも支援です。できることを無理なく継続する被災者の支援活動が色々な所で拡大していけばいいですね」。
大倉さんも立花さんも語り口は静かですが、その固く熱い心の内をたっぷり感じ取ることができました。大和なでしこだけでなく、大和男子も草津から被災者を温かく支援しています。「Forza 」の賑わいと被災地の一日も早い復興を願いつつ、お二人の話に感動してお店を後にしました。
Forza! (橋詰辰夫)
チャリティーレストラン「Forza!!」
(原則、毎月第4火曜日)
草津市野路1-8-18 e.e.Building12F
(JR南草津駅から徒歩約3分)
来店予約、食材提供の申し出などは
下記またはwebサイトまで
電 話 080-3026-5313(大倉さん)
メール forza.0311.ookuraogmail.com
URL http://forza0311.web.fc2.com/