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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

私のゴミよ、どこへいく !?

クリーンセンター見学記

2日でいっぱいになるゴミたち

 クリーンセンター入口の受付前は大きなスケール、つまり車の体重計があります。入ってきたときと出ていくときの差が持ち込まれたゴミの量となるわけです。ちなみにゴミ収集車が1回で持ち込むゴミの量は2~3000kgになるとか。
 さてこの大量のゴミ、焼却ゴミはまず「ごみピット」に溜められます。縦7m・横18m・深さ8mという巨大なピットは圧巻です。約300t入りますが、ここを満杯にするのにセンター開設当時は3日かかったものも今では2日、連休明けや正月明けにはわずか1日です。このピットでは大切な役目があります。それはクレーンを使ってのゴミのかくはん作業。ゴミは季節や天候、出し方で水気の量などが違い、そのまま焼却すると不完全燃焼を起こしてしまうので、かくはんしてゴミを均一な状態にするのです。とても大切なかくはん作業は3交代で24時間続けられます。

あのダイオキシンはどうなった?

 センターの焼却炉は全部で3炉。うち常時2炉が稼働しています。先の工程で均一な状態になったゴミは約900℃で焼却されます。この温度がポイントです。少し前に話題となったダイオキシン。この発生を防ぐには800℃以上の高温で安定して焼却しなくてはいけません。だから不完全燃焼させないための先のかくはん作業が効いてくるわけですね。温度を下げてはいけないので月から土曜日まで24時間、火を消すことはありません。国で決められた排出ガスに含まれるダイオキシン類の基準値が5ナノグラムなのに対し、センターでの昨年度の測定値は0.01~0.06ナノグラムとなっています。この安心できる数値も、焼却炉の性能だけでなく、職員さんをはじめ多くの人の努力の賜物でもあるんですね。ちなみに「ナノグラム」とは、1gの10億分の1です。

燃やしても終わらないごみ

 もう一つ知って欲しいこと。それは「焼却ゴミは燃やしても終わらない」こと。何のことだかわかりますか。そう、灰が残るのです。クリーンセンターの焼却炉では2炉で1日に150tのゴミが燃やされます。そのうち13 %、20tもの灰が残ります。残った灰はどうするのでしょう。
 草津市内には埋め立てる場所がないので、処分手数料、運搬料を支払って大阪湾神戸沖まで運んで埋め立てているのです。「大阪湾フェニックス計画」に基づいたこの埋立地は約88ha、甲子園球場23個分にもなる広さですが、平成39年には満杯になる予定です。 ここには草津市のように埋立地を持たない自治体をはじめ、近畿2府4県の168の自治体から灰などが運び込まれていることを知って納得です。ちなみにここに埋め立てるために必要な経費はゴミ1tあたり5250円。草津市で年間に排出される灰は約4800t。ゴミ処理に関しては国や県からの補助は一切出ないので、計算の得意な人は、私たちの税金がいくら投入されるのかを計算してみるのもいいかもしれませんね。

ズバリ! ゴミの減量

 ここまで読んで勘の良い人ならお気づきかもしれません。クリーンセンターは最終処分ができない中間処理施設であること、そして今回のゴミの出し方の変更の目的がゴミの減量であることを。草津市、いやいや私たち市民一人ひとりに最終処分場まで行かないようゴミを減らしていくことが喫緊の課題として求められているわけです。でもどうすれば良いのでしょう。暮らしを見つめ直してごみ自体を減らすこと(リデュース)、分別して再資源化(リサイクル)したり、再利用(リユース)することなんですね。
 クリーンセンターは中間処理施設であることは既に紹介しました。では焼却ゴミ以外はどのように処理されるのかも簡単に紹介します。

 まずは空き缶です。強力な磁石でスチールとアルミに分けた後にプレスして、それぞれブロック状の塊にしてから次の工場へと運ばれます。そこで新しいアルミ製品や鉄製品として生まれ変わります。
 次にペットボトルです。これも圧縮してブロック状にして出荷されます。次の工場で「繊維」「ペレット」「ペットボトルフレーク」の3つの形状になり、リサイクルの原材料となるわけです。私たちには家庭から出す段階で、
  ①ラベルをはがす
  ②キャップを取る
  ③中身を洗う
ことが必要になるのでお知りおきを。

 さてプラスチックです。プラスチックには再生できるものとできないものがあります。プラマークの付いた汚れていないもののみが再生へと回ります。それを職員の皆さんが手作業で選別しています。再生できるものは圧縮して固め、300kgの塊にして次の工場へ運ばれます。そこでまたプラスチックの原料になったり、ガスや石油製品の原料にリサイクルされるわけですね。

お前はどうだ?

 所長の長さんは言います。「3R(リデュース、リユース、リサイクル)の話が出ましたが、中でもゴミを減らすリデュースがとりわけ大切です。その上で出てしまったゴミはリユース、リサイクルする。
 昔の買い物は野菜や魚などの包装は新聞紙で包む程度。豆腐なんかは鍋を持って玄関まで買いに出たものです。今、振り返ると、ゴミの出ない実に賢明な暮らし方です。でも、そんな時代に戻ることができない以上、いかにゴミを出さないようにするのか、常に意識し皆で考えていかなくてはいけません。私たち行政ができることもあれば、市民の皆さん一人ひとりにしかできないこともあります。次の世代、その次の世代と、これからを生きる人たちのためにも、今を生きる私たちができることから動いていく必要があります。」と。

 目の前に広がる私たちのゴミを見ながら話を聞いていると、「お前はどうだ?」とゴミに問いかけられているような気持ちになるから不思議です。

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