団体インタビュー
この町で楽しく歳を重ねる。
住民同士の会話が生み出す安心
歳を重ねても安心して暮らせる町をめざして生まれた福祉部会。平成20年当時で65歳以上が約150人。同じ年齢層でできている町です。22年では65歳以上が204人。70歳以上も135人以上。高齢化率で言えば25%だったのが数年で32%に跳ね上がったことになります。
この町で楽しく歳を重ねる―。私たちの活動の中心は月2回のペースで開く地域サロン。百歳体操・バス旅行・歌声喫茶・マジックショーなど企画は毎回工夫しています。最高齢者はなんと90才。「日ごろは独りなのでサロンに来て少しでもお話しできるから毎回が楽しみ」と話してくれる女性もいます。ただ男性の参加が芳しくないのが悩みでした。そこで、これまで会社と自宅の往復だけだった男性にも地域に出てきてもらうため、「囲碁・将棋サロン」を始めることで男性の参加が増えだしました。
ゆる?く、つながる
会員制にせず、町内の65歳以上なら誰でも参加できます。また、その姿勢は福祉委員会のメンバーでも同じです。メンバーの入会・脱会は自由、それが長く続けるコツでもあります。町内会にも福祉委員さんはいますが毎年交代、そして任期中は学区や市の会議などで忙しい。長い目で町を、住民を見守っていくには町内会の組織だけでは難しい。だから、できる人ができる形でいつまでも、そしていつでも関われるようにと考えたのが福祉委員会でした。町内の福祉委員を経験した人には、できるだけ委員会に残ってもらうようお願いしています。7人で発足した委員会の仲間も今では17人となりました。委員会のメンバーだけではありません。サロンは誘い合い声をかけあいながら参加してもらっていますが、町内の65歳以上の家庭にはチラシをポスティングします。それも住民ボランティアによるものです。「今は委員会に入るまではできないけど、チラシを配るだけなら」という人たち。どの役割でも自然と協力姿勢が生まれているのが嬉しい。
福祉委員会の活動がきっかけとなり、地域サロン以外でも支え合いの芽は生まれつつあります。網戸の張り替えや車での買い物など、少し難しくなってきた作業を、できる人がお手伝いしていく姿もちらほら生まれるようになりました。
少し先を見据える
地域サロンも気がつけばもう6年。ここまでみんなが楽しく続けられた理由はいくつか考えられます。住民の入れ替わりが少なく、長い時間をかけて顔見知りの関係を築いてきた安心感、約200世帯という適度な規模、活動を引っ張るリーダーと役割に応じて協力してくれる人の存在…。そして何よりサロンへの参加も、協力体制も強制することなく、ゆるやかにつながってきた自由さ。こうして福祉委員会のモットーである「向こう三軒両隣り」の関係が今日も丁寧に紡がれます。
地域サロン代表の中嶋さんは、「血圧計や体脂肪測定計を購入して、百歳体操の前後に計測し、みんなの健康が続くようにしていこうとメンバーで話しています。そして活動が長く続くよう運営側の後継者が育ってくれるよう考えていきたいです」と地域の将来を見ています。