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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

町内会が生まれるとき

~かがやきの丘町内会~

個人の善意も限界

4人の住人  まち開きがあったのは平成19年。1年程度の差はあれど4人ともほぼそのころに引っ越してきました。当時は入居数も少なく町内会もありません。市の職員でもあった服部さんは「ついでだから」とゴミ袋を市役所からもらってご近所さんに配っていました。その後も開発は進み、個人でご近所分のゴミ袋を持って帰るのも限界、いよいよ町内会の必要性を感じました。同じころ、中村さんは「公園の草が背丈ほど伸び放題になっている」と近所から相談を受け、有志で草刈りをしていました。個人や有志での善意も限界に達し「誰かが町内会をつくらないといけないな」という気持ちが入居者の中にも芽生えはじめます。まち開きから3年、すでに半分以上の区画が埋まっていました。

やるべきことはたくさん

2人の住人その1  すでに気心の知れた仲になっていた4人を含む数人が町内会設立のための準備会を立ち上げました。といっても、もちろん全員が町内会を立ち上げた経験などありません。会長は中村さんに、市役所から町内会の立ち上げのために必要な手続きのアドバイスや資料をもらう人、近隣町内会から規約を集めて素案をつくる人など現役世代らしく、仕事での知識なども活かして分担しながら手探りでのスタートです。

 準備会ではまず「町内会設立に賛成してもらえるか」アンケートで住民の意見を聞くことから始めました。「なぜつくるの?」と疑問を持つ人はいたものの大きな反対意見はありません。他にもやるべき仕事はたくさんあります。町内会費はいくらが妥当なのか、もうすぐ建つ自治会館の補修や維持管理にかかる積立計画、事業計画、組織の機構や規約も必要です。特に苦労したのは班分け。回覧などが回りやすい適度な戸数で偏りがあってもいけません。背中合わせの並びより道路を挟んでも玄関どうしが向かい合っているほうが顔を合わす機会が多いかな、などと工夫をしました。中村さんは「運命のジャンケンで準備会の会長になったけど、今ではめったにない良い経験ができたと喜んでいます。あんなに自分の町のことを考えることはそんなにありません。みんなに助けてもらえたし、あの時の時間の濃さが、みんなとの今の距離になっています。あと、個人でなく組織として役所や外の組織と話をすることができるようになったのも町内会があってこそ」と当時を振り返ります。

子どもたちが戻ってきたいまちへ

2人の住人その2  忙しいながらも、楽しく濃密な一年をかけて正式に町内会が発足。困ったのは会議をする会館がまだなかったこと。時には役員宅に20人の班長を集めたこともあるとか。あまりに窮屈で奥さんも子どもたちも外に退避したのも今となっては楽しい思い出です。会長・副会長・会計は準備会メンバーから出し、最初の2年間は三役を変えずに足元を固めることにしました。今では立派な会館もでき、三役も他の住民さんがなってくれ、町内会として軌道に乗り出しました。

 「準備会の時のように形のないものをつくっていくのは楽しい時期です。皆が前向きで同じ思いを持っているからだと思います。今は町内会の仕事だけでなく、まちづくり協議会にも加わり活動は増えています。比較的、時間に余裕のある退職者世代に町内会の役を持ってもらえたら助かる部分もあります。一人が頑張るのでなく、10人が1/10ずつ頑張れるしくみを考えていきたい。」と堅実な意見の坂口さん。「やがて子どもたちが成長して巣立って、いずれ戻ってきてくれるような町にしていきたい。君たちの将来のためにと動いてくれている大人がいることも子どもたちには教えていきたい。そのためにはシステムではなくコミュニティを広げながら楽しく暮らせたら。子どもたちのためということは自分が老いたときのためでもあるんですよ。」瀬戸口さんは未来も見ています。

子どもが寝たら「飲みませんか」

かがやきの丘  とにかく若さを感じる町、高齢者世帯は町内の約1割です。驚くのは家の行き来が子どもだけでなく大人にもあること。休日ともなると頻繁にあちらこちらでバーベキューをしていて、通りかかると「一緒にどうですか?」「すぐ行きます」なんて交流もあります。瀬戸口さんは言います。「今の若い父親は家事もすれば子育てもします。子どもを寝かしつけてから『飲みませんか』と近所の人から連絡が回ってくるんですよ。LINEやフェイスブックに町内の登録が約30人あります。こうした道具を使って交流していくのは新しい町内会のつながり方かもしれませんね」なるほど。「まぁ、楽しくやれている一番のポイントは家族の理解かな…」服部さんの渋いつぶやきで取材はお開きです。


かがやきの丘町内会
中村洋さん 瀬戸口健さん 坂口誠さん 服部英亜さんにインタビュー

取材・掲載

コミュニティくさつ104号 2015.3月号
「町内会って、なんだ!?」より

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