団体インタビュー
不法投棄!困った場所をまちの庭へ
ゴミがゴミを呼ぶ
整地というより開拓
中澤さんは町内会で声をかけ有志24名で「あゆみの会」を結成。市と相談し管理協定制度を利用して堤防の草刈りと花を植えることにしました。川底は町内会で市から借り受け、砂をまいて整備しました。何から何まで手づくり。出屋敷団地はもう40年以上経つ住宅地。今では147世帯の半数以上が65歳以上の高齢者世帯で、ほとんどが現役時代はサラリーマンです。大工仕事も農作業も素人に近い状態です。特に大変だったのは不法投棄の処理。川底だけあって半分埋まったゴミをロープで一つひとつ引っ張りあげました。ぼうぼうの草は刈っても処分しきれない量で花を育てるための堆肥にしました。草の下にはゴロゴロと大きな石が待ち受けています。これも手づくりのふるいにかけました。「整地というより開拓ですね」と四方さんの言葉が、高齢化したまちの住民にとってどれほど過酷なものだったのか雄弁に物語ります。
「ゴミがゴミを呼ぶ」のまた逆も真なり。草刈りとゴミの撤去、そして花を植えだしてからは目に見えて、ゴミを捨てる人が少なくなりました。会の美化活動は月に一回ですが、「花壇の草花はね、それぞれの家庭で園芸をしている人が種や苗・球根を分けてくれるんです。毎日私たちはおしゃべりしながら草引きしていますわ。天気の良い日はここでお弁当を持って来て食べることもあります。私が家にいなければ孫はまずここを探しに来ます。」と笑い合いながら中澤さん・屋敷さん。
一人ひとりのだいじな場所「まちの庭」
公共空間をつくる
まちのみんなが協力して公共空間をつくり、そこでコミュニティを育む。一人ひとりの「私のだいじな場所」になっていった活動が模範とみなされ、この度、「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰受賞者*として決定しました。私たち草津市民にとっても誇らしいことですね。
実はこの場所、草津川跡地基本構想にかかり数年後には市に還され「子どもから高齢者まで、市民の健康づくりをテーマにしながら、身近に憩いやすらげる緑の空間を創出する場」として生まれ変わる予定です。少し寂しい気もしますが「それまでは私たちのまちの庭だから、日ごろから手入れしこの環境を維持していきたい。誰かと、何かと出会えるコミュニティの場として使っていきたい」と皆さんは今日も種を撒くのです。
出屋敷団地あゆみの会
四方 隆さん 山本 修さん 中澤利江さん 屋敷ユウコさんにインタビュー