団体インタビュー
行きたくても行けない いつかそんな日が…
いつまでも地域の中で
草津市の西部に位置する山田地域は湖南幹線を挟んで東側は都市化が進み、西側は農村地域となる混住地域です。特に浜街道より琵琶湖側の農家の高齢化は深刻で、山田で有名な草津メロンをはじめとしたビニルハウス栽培も後継ぎがなく、ハウスが荒れたまま放置されているのが目につきます。景観も良くないですね。ただ田畑については圃場整備がされているおかげで機械が入ることができるし、水道も整備もされています。近年、農業会社が入り外国人や学生を雇うなど新しい労働力による農業がはじまっています。
私のように高齢になっても地域の中で楽しく活き活きと活動できるように、またみんなが安全で安心な地域になっていくために何ができるのか考えていかなくてはと思い、山田21まちづくり推進委員会の活動を始めています。
ふらふらと危なっかしい…自転車での買物
市民センターのやすらぎ学級に来る高齢者は口々に「買物がしんどい」と言われます。
まめバスがハズイの敷地内を通るので買物に行く人もいますが、都合の良い時間と多少ズレもあり、日々の買物にはまだ利用しにくい面も残っています。これまで自転車で行っていた買物も、ふらふらと危なっかしくなり今では車を使わないと行けない人も多くなってきたということ。
でも山田を通るまめバスは比較的、利用率は高いんじゃないかな。まめバスでメロンを買いに来る人やウォーキング目的でまめバスに乗って駅まで行き、歩いて帰ってくるという人も(笑)。
もうすぐ「まめバス」の実証運行は終了するみたいですが、地域の人の移動を支えるためには、「利用しやすいように」また「それを支えるためには」と地域の私たちも真剣に考えていかなくてはならないと思っています。
個人的にまめバスは「外へ行きたいけれど歩いて行くにはちょっと無理」と感じる人が利用するものだと思っています。まめバスにちょっと拾ってもらうくらいの感覚で、安心して利用できる地域の密着した移動手段であってほしいと願っています。
みんなが移動しやすく
そのとき自分はどうすればいいのか
地域の活動とは別に社会福祉協議会で障がい者の送迎ボランティアをしています。「年をとると当然、足腰が弱くなる。自分もいずれ車に乗ることができなくなって誰かに送迎してもらうことになる。送迎される側になったとき、自分がどのように接すればお互い気持ちの良い関係をつくれるのか」と漠然と感じたことがきっかけでした。この活動をはじめると障がいの程度や種類は人それぞれでも、交通手段がその人の杖となっていることを痛切に感じます。
送迎ボランティアは顔を見ながら接するので心が通じあい、本当にうれしそうに感謝の気持ちを伝えてくれます。この活動からも自宅から目的地までの「ドア・ツー・ドア」で心地よく行けるよう地域が支えなくてはと改めて感じました。
浜街道を横切ってゴミを出すおばあちゃん
昔は「もらい風呂」などの風習もあって近所の家族構成などがよくわかっていたし、三世代で住んでいる家も多かった。今では山田地域でも老夫婦だけの二人住まいが多くみられるようになりました。支えあいの分母が小さくなっています。地域の高齢者がシニアカーで移動するのを見るとまちの縁石や段差が気になります。
毎回、交通量の多い浜街道を横切って集積所にゴミを持っていくおばあちゃんが気になるし、一人で持ち切れず一輪車でゴミ出しにくる高齢者もいると聞くと「転んだら、事故にあったら」とヒヤヒヤします。
山田の10年後の移動の姿を考えるのはここに住む私たち一人ひとりの責任だと思っています。行政に頼るだけでなく住民同士で気づき、できることからすれば良いと思っています。たとえ独り住まいでも寝たきりや閉じこもりにならず、好きな時に好きなところへ行けるまちを、みんなで支え合いながらつくっていきたい。そのために今自分ができることは何かと考えていると「まちの見方」が変わってきたように思う今日この頃です。
地域公共交通会議のメンバーとして「まめバス」導入について検討されるなど、「まちの移動」についても関心が高い。
過去には山田学区自治連合会長も経験。