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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

ひとつ上ゆく、まちの楽しみ方

おとこの出番

“したいこと”と“できること”

 “男性だって地域の中で楽しく学び、仲間づくりをしよう”と平成13年に矢倉公民館で行われた「男性いきいき講座」がきっかけでした。担当した職員さんの声かけもあり、翌年に参加者有志で立ち上げたのが「おとこの出番」。月一回ペースの活動が15年経った今も続いています。メンバーの入れ替わりは多少ありますが、定員は今も昔も25人。現在、代表の片岡さんも一年間の浪人(空席待ち)を経てメンバーになりました。
 まずは平成28年度の予定を紹介しましょう。

4月 ウォーキング(沖島・長命寺)
5月 バーベキュー
6月 講演(認知症対策)
7月 そば打ち
8月 子どもの好きな科学実験
9月 歴史探訪(野路宿)
10月 グラウンドゴルフ
11月 鉄道博物館見学 
12月 餅つき
1月 テーマ検討会(次年度のテーマ立案)
2月 古文を読む・懐メロ合唱
3月 講演(災害対策)
その他 花見(4月)・納涼懇親会(8月)
ふれあい祭り屋台出店(11月)・忘年会(12月)

自作の浴衣で総踊り  学習あり、体験あり、遊びありとバラエティーにとんだ、なんとも楽しそうなメニューが並びます。でも、「おとこの出番って、何をするサークル?」と思った人もいるのでは。そう、おとこの出番は自分たちがしたいことをするサークルなんです。この辺りに長く続くコツもありそうです。

 ここに一枚のアンケート用紙があります。設問は「①自分がしたいこと ②自分がお世話できること」だけ。つまり、「自分がこれまでにしたかったこと」と「自分が教えたり、手配したりできること」をメンバーから聞いて、それを事務局担当が組み合わせて年間メニューを決める仕組みなんですね。だから先ほどのメニューにも毎月、主副のリーダーが割り当てられます。この「自分たちがやりたいことを、みんなでやっていこう」という考え方、誰かが引っ張るのではなく皆で分担するやり方は当時からずっと変わりません。

人の人生と自分の生活がつながるとき

山本眞志さん  ただ、企画を取りまとめる事務局の山本さんには苦労もあります。「単純に意見の多い順に選ぶと、どうしても遊びが多くなります。少数意見も大切にして、毎年、新しいことにも取り組みます。意外とみんな、新しいこともやってみたいと思っているから文句は出ません。深すぎず、ちょっとかじるだけでも良い経験になるものです」

 例えば人気のバーベキューも単に食べるだけでなく、間に漢字クイズや紙飛行機飛ばしといった工夫も挟み込むとか。時には、現役時代に培った知識や経験などをメンバーが講師となって話してもらう企画もあります。元銀行マンによる税金の話、県立種鶏場で種鶏の研究・開発に携わっていた人の鶏や畜産の話。
 「話が得意でない人も、講師だからって気負うことなくトツトツと話してくれます。和気あいあいとした雰囲気です。その人が歩んできた人生と自分たちの生活がつながる話って楽しいですよ。何でも遊びの延長です」。山本さんの言葉からは「おとこの出番」がもつ大人の人生の楽しみ方を感じます。

心地よくて程よい距離感

片岡光徳さん  もう少し、「おとこの出番」にみる人間関係について聞いてみました。「例えば20歳の人と15歳の人では、たった5歳の年齢差でもなかなか付き合えないですよね。うちのメンバーは60歳代から80歳代まで幅がありますが、この歳になると年齢差は気にならない。たとえ一回り違ってもギクシャクしないし、居心地の悪さもありません。誰かに気を遣いすぎることも、逆に見下すようなこともありません。肩書も敬語も使わない。互いに『○○さん』で呼び合っています。」なんとも心地よくて程よい距離感に“大人のサークル”という雰囲気が漂います。

橋詰辰夫さん  おとこの出番では、活動の前に草津市民歌を歌うようにしているとか。
 ♪ここから道がひらいてる ここからみんなたちあがる♪
 セカンドステージに入った「おとこの出番」の面々は、この歌詞さながら、ここからまた素敵な人生が始まっています。同級生や仕事仲間・ご近所とはまた違うつながりが、ここにはあります。人との距離感を大切にしながら、培ってきた経験や能力を新たな楽しみにつなげるなんて、ちょっとかっこいい生き方だと思いませんか。

おとこの出番
山本眞志さん 片岡光徳さん 橋詰辰夫さんにインタビュー

取材・掲載

コミュニティくさつ108号 2016.3月
「お父さん、出番ですよ。」より

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