団体インタビュー
“つくる”と“たべる”の間で
小さなレシピ
畑を通じて、つながる
味を選ぶ
農家に嫁ぎ、野菜づくりを始めて気づいたことがあります。それは、旬の野菜は素材の味だけで十分に美味しいということ。そのことをみんなに知ってほしいという思い。「スーパーに行くと、野菜にかけるドレッシングや調味料が棚の端から端まで並んでるでしょ。昔はマヨネーズくらいしかなかったのに。私たちは野菜の味でなく、ドレッシングの味を選んでしまっていると思うんです。旬の野菜、採れたての野菜はちょっと蒸したり、茹でるだけで美味しいんです。何もかけなくても野菜本来の甘みがあるってことを知ってほしいんです。でもね、農家のおばちゃんが、ここで一生懸命に言っても声が届かないでしょ。」冒頭のピンク色のレシピは中西さんのそんな思いが詰まっています。
農家だからこそ、実際に野菜づくりで汗をかいてきたからこそ野菜本来の味を伝えたい。そんな思いで悶々としているとき、野菜ソムリエという資格があることを知りました。“思い立ったら行動”が流儀の中西さん。野菜の知識だけでなく、ベジタブルサイエンスといって生活習慣病予防のための栄養学、はたまた接客コミュニケーションまで“野菜”を様々な角度から見つめ直す勉強をして、ジュニア野菜ソムリエとなったのが昨年のことです。「この資格はあくまで自分に自信を持つためのもの。そして、私の言葉に耳を傾けてもらうためのものなんです」
手早く手軽に
中西さんは仕事や子育てで忙しい若いお母さんたちにこそ、野菜本来の美味しさを知ってほしいと思っています。「小学校の給食では野菜嫌いの子どももいるでしょ。本来、食は楽しいもの。給食も楽しみにしてほしい。だからもっと小さいころから野菜の美味しさを知ってもらいたい。幼いころの味覚は体が覚えてくれます。お母さん自身が野菜の美味しさを知らないと、子どもたちには伝わらない」。だから忙しいお母さんが手早く手軽にできて美味しいものを伝えたいと中西さん。「料理に時間をかけていられない人もいます。お総菜や冷凍食品などすぐ手に入りますが、結局、野菜本来の味から離れてしまいます。簡単なことです。朝食にちょっと野菜の入ったみそ汁を食べてもらいたい。前日に昆布とだしじゃこを水に入れておいて、翌朝は味噌だけ入れたらいいから」と。