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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

自分たちで考え、決める。

学童保育・企業組合労協センター「みんなの家」

予定はあくまで予定

小川さん  ここは笠縫小学校すぐ近くの草津市民設児童育成クラブ「みんなの家にこに子」。夏休みとあってか、20数名の子どもたちが、にぎやかにおやつの時間、冷房も効かないほどの熱気です。
 チャイムもない、時間を区切られているわけでもないのに、小さな子が食べ終えるころに、誰かれなく食器や机を終い、当番だという6年生の女の子の進行で帰りの会が始まりました。すると3~4名の子が順番に発言していきます。「●●ちゃんがこんな話で急に笑い出したけど、私はそんなに笑うほど面白いかなぁ~って思いました。」───?。
 よく状況が呑み込めない。これは支援員の小川さんに聞くしかありません。なんとも子ども好きな雰囲気を漂わせている小川猛さん。「これは“今日の一言”です。自分の気持ちを伝えるための時間で、今日、皆に聞いてほしいことがある子が発表します。ここでは子どもたちの自主性を大切にしています。予定は立てますが、その通りでなくても構わない。ごちそうさまをするタイミングも、その日の当番が様子を見て決めるんですよ」なるほど、合点がつきました。

自分で考え、決める

田中さん  ここの学童保育を運営する企業組合労協センター「みんなの家」所長、田中紀代子さんがこの自主性について教えてくれました。
「働く親、働きたい親が増えています。働くために子どもを預けたい。学童保育は安心して子どもを預けられる場所、放課後の子どもたちの居場所として欠かせません。ただ、子どもたちからすると来たくて来る場所ではないでしょ。自分の意思で、つまり「来たい場所」として子どもたちに前向きに受け入れてもらうためには、自分たちで考え決定する自主性を大切にしてあげたい。そのために「子ども会議」と称して、どんなことでも自分たちで意見を出し合い決定するようにしています。今、子どもたちは夏まつりをどうするか考えています。支援員も子どもたちが考え決めたことをできるだけ実現させ、「学び」となるサポートを心がけています。学校はカリキュラムに沿って教えなければなりませんが、学童保育はそうではありません。先生でもないので、子どもたちの評価もしない。その子の良いところを認めながら伸ばしていくこと、子どもがちょっとした悩みを何気なく言える場所にしていきたいですね。」

 先生でも親でもない大人や異年齢の子たちと、時間・空間を共にして、みんなで考えながら実行する。学童保育は単に「子どもを預ける場所」や「もう一つの学校」ではなく、子どもたち自らが自分自身や心を育んでいくための居場所なんですね。子どもたちの成長が楽しみです。

そこに必要な仕事をおこす

 「みんなの家にこに子」を運営する企業組合労協センターは他にも公設学童保育の指定管理(4か所)、高齢者や障がい者の訪問介護、デイサービスなど介護・子育て・障がい者支援など様々な事業をしています。ポイントは「そこ(地域)に必要なものを仕事としておこす」こと。5年前に障がい児の放課後デイサービス事業が始まった例を福山かおりさんにお聞きします。

福山さん  一人の発達障がい児との出会いが始まりです。その子は同じように学童保育に来ていましたが、大勢の中では耳をふさいだり、グルグル回ってみたりと、少し他の子とは違う仕草や行動が目立ちました。それは自分を落ち着かせるための行動。私にはその子がこの場所では辛そうに映りました。この子が楽しく過ごせる場所が必要なのでは…。その子のお母さんに話すと全く同じ思いを持たれていたんです。でも、働くお母さんには他に選択肢がなかったんですね。そうして、お母さんの紹介で同じような悩みを持つお母さんたちの話を聞きながら調査、確かなニーズを確認して、労協センターの出資金を元手に始めたのが「みんなの家 児童デイサービスもも」です。今はここも一杯になり、寄付や賛助金も集めて「第2もも スマイル」も立ち上げました。

 そこに必要な仕事を創造する。そこにニーズがあれば、働く人も出資して組合員となり、解消に向けた仕事として興します。単に雇う・雇われるといった関係でなく、お金も口も出す仕組み。皆が同じ一票と発言権を持ち事業を運営していきます。いわゆる「労働力」の協同組合なんです。もちろん、皆の出資だけでは業として成立しないものは制度補助なんかも取り入れるし、赤字部分は別の収益事業から補てんもします。大切なのは業として成立させるための確かなニーズ、出資・寄付・補助金などを集めるためのノウハウとコーディネート。もちろん、その根底には“思い”が大切です。

 お金儲けではないけれど、業を興して問題を解決していくこの手法も、コミュニティビジネスとして、またまちづくりの一つとして注目です。


学童保育・企業組合労協センター「みんなの家」
田中紀代子さん 福山かおりさん 小川猛さんにインタビュー

取材・掲載

コミュニティくさつ110号 2016.9月
「その笑顔、まちの未来。」より

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