団体インタビュー
♪今日もすてきな一日でありますように♪ make a song ~草津への思い、歌にのせて?
堤防沿いで、ふと浮かんだ曲
今、草津では様々な草津のオリジナル曲が歌われています。「草津川に捧ぐ」「まめバスにのって」「たび丸音頭」「心のあおばな」…中でも特によく耳にする「出会いの街、くさつ」。これ全部、作詞作曲したのは29(にじゅうきゅう)というバンドの長谷川憲一さん。実は彼、市役所の職員さんです。しかも専門は建築。
建築行政に関わる傍ら、趣味でつくったこれらの曲が今、草津の市民創作ミュージカルや色々な催しなどでよく聴かれるようになりました。
建築技師として市役所に勤める長谷川さんは現在45歳。音楽との出会いは子どものころに習ったピアノ。大学では建築を専攻する傍ら、友人たちとバンド活動。いつも音楽を身近に感じながらも、あくまで趣味としてつきあってきました。市役所に入り、建築の仕事をしながら若手職員3人でバンド「29」を結成し、カバー曲やオリジナル曲を宿場まつりなどで演奏することもありました。草津を題材にした最初の曲は「草津川に捧ぐ」。出勤途中に草津川の堤防沿いを歩いていた時に急に歌詞とメロディが浮かび、慌てて持ち歩いているICレコーダーに吹き込んだとか。こうしてオリジナル曲を作っては、バンドで演奏してみたり、自分のノートに書き込んだまま陽の目をみない曲もありました。
子どもたちの歌に胸が熱く
そのきっかけは、平成23年に思いもよらぬ時に訪れます。草津アミカホール(草津市コミュニティ事業団)が草津をモチーフにした市民創作ミュージカルを創ることになり、長谷川さんが2年前のまめバス運行に合わせて作った「まめバスにのって」の存在を知ったプロデューサーの澤孝子さんから「ミュージカルに使わせてほしい」との依頼があったことです。澤さんとの会話は弾み、他にも「草津川に捧ぐ」「出会いの街、くさつ」のデモテープを渡しました。これらを聴いた澤さんはプロの作曲家によるアレンジを行った上で、ついに市民創作ミュージカルで長谷川さんの曲が披露されたのです。「多くの子どもたちが、プロでもなんでもない私がつくった草津の歌をステージで歌って踊ってくれている。それだけでも嬉しいのに、たくさんの練習を重ねてくれたことを思うと、熱いものがこみ上げてきました。一緒に観に行った嫁さんも隣で泣いていました。本当に嬉しかった。」
心のふるさと
草津市で育った長谷川さんは、その大好きな草津市を自分の職場にしました。そんな長谷川さんがつくる草津の歌に込める思いとは。
西渋川で育ち、第二小学校に通っていました。桜の季節には先生がクラスで旧草津川の堤防へ散歩に連れて行ってくれました。旧草津川は小さなころからの思い出の場所。「出会いの街、くさつ」では、どんどん景色が変わっていく草津を思ってつくりました。♪心のふるさと、くさつ♪というフレーズに、もっともっと草津を好きになって欲しいとの願いを込めました。生まれ故郷だけでなく、職場や学校などで、たまたま草津と縁があった人にも「心のふるさと」って思ってもらえたらうれしいですね。
「心のあおばな」はミュージカルのためにつくった曲です。あおばなは夏の朝に咲く青い花。地獄花とも呼ばれるほど、栽培農家の方にとっては大変だったみたいです。でも、この小さくも可憐に咲く花に、当時の草津の人たちがどんな思いを込めたのか、できれば前向きなイメージだったらいいなとの思いを込めて♪今日もすてきな一日でありますように♪って詞を入れました。でも、この作品を書いた時には「伝わるかな」と自信もなく、苦しみながらプロの先生に託した曲だったんです。
詞を書くときにはいつもわかりやすい言葉を心がけるという長谷川さん。「出会いの街、くさつ」は今、若いママ世代の間で歌われる機会が増えているみたいです。「ママ世代が気に入ってくれるとは思ってもいませんでした。歌は、やっぱり歌ってもらえてこそ生きるから嬉しいですね。僕の音楽はあくまで趣味でつくったもの。それをプロの作曲家の先生たちのアレンジなど、多くのサポートがあって皆さんに届けられるものになった。こんなありがたいことはないですね。」あくまで恐縮しきりの長谷川さん、こんな職員さんがいる草津市はきっと良いまちです。このまちに縁がある一人ひとりにとって、草津が「心のふるさと」になりますように。
♪出会いの街、くさつ♪ ♪心のあおばな♪
「出会いの街くさつ」「心のあおばな」などをプロデュース
長谷川さんのメロディはすぅ~と耳に入ってくる良い曲ばかり。「草津川に捧ぐ」の歌詞♪大きな体横たえて…皆を見ていてくれる♪なんて、長谷川さんの優しさや草津への思いが表れています。アオバナを題材にしたミュージカルを創ることになって、「こんな歌を書いている人なら」と思い、お願いしました。
詞はもちろんプロでも書けますが、この曲はぜひ、草津に思いをもっている人にお願いしたいとの私のこだわりがありました。「今日もすてきな一日でありますように」とアオバナが私たちを応援してくれる詞は想像以上でした。長谷川さんが歌に託した思いを舞台から伝えようと、子どもたちも一生懸命に練習しました。どんなにすばらしい先生でも草津に思いをもった人がつくった草津の歌には適いません。聴いた人の心に染み入る歌です。草津を案内する「たび丸音頭」も市内の小学校の運動会で使ってもらえたらいいのにと思うくらい良い曲。
長谷川さんにはもっともっとみんなの心に残る草津の歌を書いてもらいたいですね。
澤孝子さん(草津アートセンター・プロデューサー)