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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

子どもが好き!本が好き!

草津おはなし研究会

草津おはなし研究会ってな~に

おはなし研1  草津市に図書館ができるもっと前、「草津おはなし研究会」の活動は始まりました。30年前と言うから若いお母さんなら、まだ生まれる前ですね。草津おはなし研究会ができたきっかけは県立図書館で開催された児童図書研究会。県内各地から多くの人の参加があり「この草津で本の読み聞かせ活動の種まきをしよう」と約10人が子どもの本の勉強会として発足させたのが1980年4月のことです。
 当時のメンバーは大半が子育て真最中。「自分の子どもだけでなくどの子にも本の楽しさを聞かせたい。子どもと本の架け橋になりたい。」という思いが、この30年の活動を支え続けてきました。
 
 子どもたちに本の楽しさを届ける方法はいろいろあります。絵本の読み聞かせ(開き読み)・紙芝居・人形劇・素話(おはなし)・巻き絵などの他に、ちょっとした手遊びも加え、子どもたちを惹きつけ飽きさせない工夫が随所に必要です。また、より多くの本に接する機会を与えられるよう子どもたちの年齢にあわせたテーマで、幾冊かの本を紹介する「ブックトーク」という方法もあります。

心をオニにして

と~っても楽しいお話から、おはなし研究会  発足当時から語りや絵本、紙芝居の読み方や演じ方について会員どうしで論じ合ってきました。また参考図書に関する個々の研究も長年続けてきました。こうした地道で真剣な活動を研究会の財産として積み重ねながら、その熱意や思いは新しい会員にも引き継がれていきます。
 現在、会員は 25人。おはなし会や講師の依頼は年間150回を超えます。毎週行う例会は実践を中心にスケジュールの確認、報告、演目の検討をしています。
 
 例会では試演といって、次に行うおはなし会を想定し、これまでの練習の成果を披露しながら話し方や手元、立ち方などの批評をします。「少しでも良いものを表演したい」というみんなの真剣な思いから、遠慮して「他人に厳しいことを言わない」雰囲気はここにはありません。試演は喧嘩やいびりではなく、本番に向かってのディスカッションの場なのです。

おはなし研究会と学校

おはなし研3  図書館で行うおはなし会には、図書のプロである司書さんも参加し互いに刺激しあいながら、より良いおはなし会を目指しています。遠く長崎県からも図書館だけでなく研究会の活動も知りたいと研修に来られたこともあるとか。
 
 さて学校と研究会の関係は一体どうなのでしょう。活動を始めた当初は学校からの依頼で、おはなし会をするために学校を訪れたときでさえ、うさんくさい目で見られることもしばしばでした。そんな空気も市に地域協働合校が取り入れられた平成10年ごろから大きく流れが変わったと感じています。
 地域協働合校の理念である「子どもたちと大人がともに『学び合い、かかわり合い、よろこび合い』」の気運がでてきたのです。 年もの活動の歴史と実績は学校からの信頼に形をかえ、今では授業の一環としておはなし会の機会を持つまでの関係になりました。
 子どもが好き!本が好き!…。この真剣な思いから、おはなし会の前には担任の先生に「子どもと一緒に楽しんでください」とお願いしています。先生も一緒に笑ったり感動すると、子どもたちは安心しておはなしの世界に浸れるのです。

子どもの本がもつ力

市立図書館で行われた「草津おはなし研究会  一口に30年と言っても、一人ひとりの人生には色々なことが起こるもの。仕事や介護に追われる時期がなったり、自らが病に倒れることだってあります。脳梗塞で倒れ失語症を患った会員を立ち直らせたのは研究会で続けてきた昔話の朗読でした。リハビリのために医師から勧められた新聞が読めず苦しんでいたのに、大好きな昔話の本は読めたのです。「今後の医療の参考になった」と医師は感心しきりだったとか。
 
 聞き手である子どもを元気にしたこともありました。ある低学年のクラスでお話を始めたところ、発熱で先生の膝の上で元気なく聞いていた子どもが、お話が終わるころにはすっかり元気を取り戻し、先生の顔を見て「面白かった」と笑顔で話す姿がありました。
 
 子どもたちの絵本や児童書に出てくるお話には「向日性」と言って、最後には「くよくよしないで人生を前向きに生きていこう」といったお話が多いそうです。人を癒す力や良い意味で楽天的にしてくれる不思議な力を与えてくれます。「私たちが今でも元気でにぎやかにやってこれたのも、こうしたお話にずっと触れていたからじゃないかなとも思ってます。」

これからも続く「おはなし研究会」

本の素晴らしさを伝えるのは本以外のものを  お話する私たちの口元を一生懸命に見つめてくれる子どもたちに出会える喜びは、何ものにも代えることができません。「そんな子どもたちの期待に応えなければ」と自らの励ましにもなります。いつまでも活き活きと共に学び、歩む喜びを感じながら、仲間との信頼と安心感でこの先もずっと続けていたいと思っています。

 草津おはなし研究会はこれからも子どもたちに素敵なお話を届け続けてくれるに違いありません。

1980年設立。
市立図書館(本館)にて毎週打合せと練習を行い、
図書館、幼・小・中・高校など様々な場面で本の素晴らしさを伝えています。

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