団体インタビュー
マジックで、笑いと驚きと感動を
生涯楽しめる趣味と出会う
「山形なまり、今ではメリットになっていると思ってます。特に高齢者には〝味がある〟って親しみをもってもらってね。標準語や関西弁でマジックすると、かえって硬くなっちゃう」
就職で滋賀に来た寺崎さん、こちらでの暮らしの方がずいぶんと長くなりましたが、今でも山形なまりの温かい語りが魅力の一つ。子どものころから人を笑わせるのが大好きなひょうきん者、職場での飲み会などでは宴会部長といわれていたというから、根っからのエンターテイナーかと思いきや、実はマジックを趣味に持つまでは人前で話すのは苦手だったというから驚きです。
そんな寺崎さんとマジックの出会いは意外と最近のこと。定年後に勤務していた栗東市の公民館で開かれたマジック講座でした。「何もないところからモノが出てくる」「切ったはずが切れてない」「1個が3個に増える」目の前で起こる不思議の数々。
「これは自分に合ってる。やってみたい」。人前で話すことは苦手でも、人を喜ばせることが大好きという寺崎さんの心を掴んだ瞬間でした。こうして受講者が集まり、マジックサークル「迷術会」が誕生しました。
もう、それは快感
「マジックで出会い・触れ合い・笑い合い」がモットーの草津迷術
会。高齢者サロン、老人会、子ども会、文化祭など、地域行事を中
心に年間50回ものステージで笑いと驚きを提供します。
「マジックはコミュニケーションなので人柄が出ます。同じマジックでも、やる人によって違うように見える。手順通りにしているだけでは面白みに欠けるし、驚いてはくれても感動を与えることはできないと思っています」と寺崎さん。
そんな寺崎さんのマジックは徹底して「観る人をもてなす」姿勢。100を超すという技の中でも高齢者相手なら細かなマジッ
クはできるだけ避け、後ろの席の人でも見える大きなカードを使います。
もう一つ大切にしているのが演者と観客でつくる会場の一体感。観客の中に硬い表情の人を見つけると、ロープを引っ張ってもらったり、カードを選んでもらったりと参加してもらいます。参加することで徐々に表情がほぐれていくとか。いつの間にか初対面の人同士が肩をたたき合って笑っています。
7年間続けている、とある保育園へのクリスマス訪問ではサンタさんに扮してマジックを披露します。毎回、目をキラキラさせて笑ってくれる園児たちの姿が演者に元気をくれます。「大人で
あれ、子どもであれ、場が盛り上がって皆が喜んでくれると、こち
らも調子にのってきますよ。もう、それは快感です。」