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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

教えてください、あなたの国のこと。~在住外国人の日本語教室~

オリーブ 恩地美和さん

一人ひとり違う理由

オリーブ日本語教室1 「日本の犬はどうしてポチなの?」「お好み焼きの〝お好み〟って何を焼くの?」
 土曜の夜、市立まちづくりセンターの一室は多くの在住外国人の姿で溢れます。今日はオリーブの活動日。インドネシア・フィリピン・ベトナム・中国・ブラジルなど様々な国の人たちが少人数に分かれ、あちらこちらで日本語を学んでいます。

 「通常、外国人の生徒は30~40人。それに対して約20人のボランティアスタッフが日本語を教えています。日本語がまったく話せない人から、日本語で日常会話をしたい、仕事で必要な日本語を覚えたい、漢字を覚えたい、日本語能力試験を受けたい人まで、ここに来る外国人は日本語のレベルも目的もそれぞれ違います。国籍ではなく、その人の日本語のレベルや目的によってグループに振り分けるので、教えるスタッフも大勢必要になります」と代表の恩地さん。
「仕事で日本に来る人もいれば、その家族や配偶者として来る人もいます。教える側のスタッフも都合で来られない時もあるので毎回が綱わたり、自転車操業での活動です」

日本語を学びたい

オリーブ日本語教室2  さて恩地さん。実はこのオリーブを立ち上げた人でもあります。恩地さんが草津に来たのはちょうど平成になったころ。当時、設立されたばかりのKIFA(草津市国際交流協会)の職員として働き始めたのが在住外国人との出会いでした。当時、草津にはブラジル食材の店があったり、草津線沿線に暮らす在住外国人の京都大阪への乗り換え地として、ブラジル・ペルーなど南米の人を中心に多くの外国人をまちで見かけました。
「草津の人たちは〝遠い国から来た人〟という感じで、どこか距離を置いてみていた」というのが恩地さんの印象です。

 「外国の人たちは日本で何に困っているのだろう」とKIFAが在住外国人にアンケートをとったところ、「日本語を学びたい・情報がほしい・交流したい」が圧倒的に多い声でした。「外国人も日本人とコミュニケーションをとりたいと思っている。日本人も〝知らない〟がために距離を置いている。それならボランティアで日本語を教えよう」。こうしてオリーブが誕生しました。平成6年のことです。

私は先生 私が先生

オリーブ日本語教室3  知り合いへの声かけと食料品店にチラシを置いた程度にも関わらず、最初の生徒は30名にのぼりました。それからというもの、口コミや仕事の先輩実習生からの紹介などで、どんどんと増えていきました。日本語教室から広がり、お茶や琴、書など日本の文化を体験したり、逆に日本人スタッフがその国の言葉や文化・料理を教わるなど、数多くの交流を重ねてきました。教室の和気あいあいとした雰囲気に加え、在住外国人と日本人スタッフがそれぞれの国の文化を敬い、興味を持って互いに学び合いたいとの思いが根っこにあるからでしょう。

 教える日本人スタッフも、外国人に日本語を教えることで改めて日本語の難しさに気づかされます。「『私は先生です』と『私が先生です』は、どう違うの?」と聞かれ、困った先生もいるとか。
「何気なく日本語を使っている私たち日本人も、こうして改めて聞かれるとハッとします。〝教える〟ことを通じて、もう一度、自分たちの日本語と向き合っています。学校で〝日本語〟って習いませんものね」

日本語から生活の困りごとまで

恩地さん  日本での生活に不可欠な日本語です。日本語教室をする中では、自然と生活上の悩みや困りごとの相談を受ける場面もあります。アパートに届いた封書が読めないという生徒。中を開けると、電気やガス代の督促状だったこともありました。職場のトラブルで参ってしまった人のケア、アパートの保証人の依頼など、生活上のトラブルを専門機関につないだことも一度や二度ではありません。

 恩地さんが最も気がかりなのは働きに来た親についてきた子どもたちのこと。日本では、外国人の子どもには就学義務がなく、日本語がわからなくて授業についていけなくなってしまうと学校にも行かなくなってしまいます。親は仕事で目一杯だし、いったん行けなくなると悪循環に陥りやすいとか。

平和と知恵

 「私自身、教えたいというより外国の文化を知りたいんです。視野も広がり友だちだって増えます。外国人は皆、日本に来て自分が
受け入れられているか不安に思っています。だから近所で見かけたら声をかけてあげてください。そのときは『○○の国の人』ではなく、ぜひ名前を呼んで声をかけてあげてくださいね」と恩地さん。
 ちなみにオリーブの花言葉は「平和」と「知恵」だとか。


オリーブ 日本語教室
市立まちづくりセンター(西大路町)
毎週土曜日19:00から
HP http://www.ne.jp/asahi/olive/kusatsu
ボランティア募集中!

取材・掲載

コミュニティくさつ120号 2019.3月
「数字で見る“草津の平成”」より

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