団体インタビュー
♪ あの音を、もう一度。
そして、楽器を置いた
「おとのわ」は女性限定の吹奏楽団。大学生から60代まで幅広い年齢層の女性が参加していますが、中心は40代のママたち。だから「ママ ウィンド オーケストラ」なんですね。
代表の砂田さんに設立前の様子を聞きました。「学生の時は吹奏楽部。卒業後は働きながら一般の楽団にも入って演奏を続けていましたが、出産で楽器を置きました。3人の子育てで生活はもう一杯いっぱい。子どもを連れて外に出ることも億劫なほどでした。そんな中でも、いつかまた楽器をやりたいな、ってずっと思っていたんです。でも、こんなに忙しい子育て中に自分の趣味の時間なんてもてるのか、続けられるか…と不安ばかりです。
それでも楽器をしたい気持ちが勝って一般楽団に飛び込みました。もう〝えい、やぁ!〟って感じです。一般楽団ではみんな働いているので練習は夜が中心。練習の日は、おもちゃをいっぱい持って行ったり、夫に仕事の都合をつけてもらって子どもをみてもらったり、コンサート前にもなると練習時間を昼間に変えてもらうなんて無理も言いました。
予想はしていましたが、子育てをしながら楽器をするのがいかに大変なことか痛感しました」
背中を押す存在
敷居をひく~く
こんなママたちの想いと経験から生まれたのが、「ママ ウィンド オーケストラ おとのわ」です。立ち上げの際に、砂田さんや田中さんたち設立メンバーがこだわったのは「子連れでも参加しやすいオーケストラ」。例えば練習は月に5~6回、平日の昼間に設定しました。会費は月単位でなく一回ごと(300円)なので、子どもや家庭の事情で急に用事ができても安心です。
年間で練習する曲は7~8曲。ホールでのカチッとした出演演奏だけでなく、幼保育園や児童館、高齢者サロンなどからの依頼もあるので、レパートリーは硬めの曲から子ども向けやアニメソング、大人が楽しめる流行歌まで幅広くやっています。
「若いママに今、流行っているアニメソングを教えてもらったり、リクエストをもらったりします。ブランクや経験なんかを気にせず参加できるように、背伸びせず、自分たちの身の丈に合った曲選びをしています」
なるほど、敷居を低くし気持ちの負担を減らす工夫が、あちこちにあるわけですね。
楽器を楽しんで
練習場所には所狭しと置かれた楽器に交じってベビーカーも並んでいます。砂田さんの指揮で音あわせが始まりました。楽器の間にはおもちゃで遊ぶ子どもたちの姿も。「当然、練習中に子どもがグズることだってあります。ママは慌てるけど『せっかく来たんだから今は楽器を楽しんで』と、出番じゃないパートの人や先輩ママが代わりに子どもをみます。お互いさまだから、ごく自然です。練習後には子育ての相談なんかにものりますよ。育児の情報交換や先輩ママたちからアドバイスをもらえたり。ここが楽器を楽しむだけでなく、子育て応援の場、ママたちの居場所にもなっていることが何より嬉しいです。経験年数なんて関係なく、誰でも何でも言い合える楽団であり続けたいと思っています」